フルート最強列伝フルコンタクト2

3tounamento
「本当にいるんだろうな?」

初老の男にそう問いかけられると青年は答えた。

「えぇ、先生ここで間違いありません、この伝記によるとこの扉の奥に眠っているはずです」


荒廃した大地、日は常に雲で覆われ風が吹きすさぶ。
作物は困窮し、人々は飢えていた、しかし・・・悲しいことに争いは絶えずおこり人口の減少を
とめることは誰にも出来なかったのである。




―とある学術院にて

「先生!!見つけました!!」

青年の声が当たりにこだまする。
息を切らし初老の先生と呼ばれる男にありったけの声で伝える。

「おぉ本当か!コレで我々の長年の夢がかなうのだな!」

初老の男は知っていた、いや、体験していた・・それを手に入れる事の困難さを。
二人ともに長年血眼になり追い続け探していた伝記そしてそれが記す場所の事を、
それはけして容易く手に入れられるものではない。

「コレで世界に平和が戻ります・・・先生」

男達は捜していた。
絶望の世界には指導者が必要だったのだ。
その圧倒的な武力はあらゆる争いの歯止めとなり、
その英知は世界を統べるチカラとなるのだ。
そうして古代の伝記を手に入れた二人は探索の旅にでた、まだ見ぬ指導者を夢見て・・。



陸を持たぬ浮遊する島・・。
今は亡きオーバーテクノロジーが夢見る風景・・・。
奇怪な動植物を潜り抜け・・・そうして過去オリヴィエと呼ばれたその地に二人は降り立ったのだ。



「先生・・・この奥に・・そう・・フルート最強といわれた・・ツワモノが眠っているはずです・・
 並み居る強豪を一網打尽にするその強さは・・・もはや伝説・・不死のチカラを得てこの地に
 眠る・・・伝記にはそう確かに書き記されています」
「そうか・・本当にここまでご苦労だった・・・そうだ、一緒に・・そう、
 一緒にこの扉をあけようではないか・・・」
「先生・・・」
青年の目にうっすらと涙がたまる。脳裏に今までの絶望・苦悩・焦燥が駆け巡り刹那消滅していく。


重く頑丈な扉に二人の傷だらけの手が重なる。
悠久の時間を繋げるように、ゆっくりと・・・ゆっくりと開き始めた・・。

まばゆい光がこぼれ出る扉の隙間から二人が見たものは・・・・・。



「なんだこれは!!!」
「もぬけのからではないか!!!!」

二人は落胆した。
その部屋には何も無い、誰も居ない、ただ足元にテッシュの箱が一つ、ガランとした空間をさらに強調
させているのだった。


「振り出しに戻ったな・・・」
「せ・・先生・・」
「泣くな!我々はこんなことで挫けていてはならないのだ!世界を平和に・・・そうだろ?」
初老の男は精一杯の笑顔をたたえ青年を見つめた。



ガチャ―

シンとした辺りに撃鉄を起す音がこだまする。

動けないで居る二人にどこからとも無く声が後に続く。

「おやおや、お客様とは珍しい、こんなところに何の用かな?ノックも無しに失礼だと思わないかね?」
物陰から姿を現したのは・・・伝説として語り継がれた最強のシンフォナー・・・パーペンその人である。

二人は顔を見合わせ感動をかみ締めた―




優勝!パーペンおめでとー!!


TOP祝フルート最強列伝優勝3

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