ザリガニ日和



新しい寝床だぜ
ザリガニは風呂から上がり部屋中をくまなく探索していた


一応風呂から出るときは体を拭くようにしつけたので部屋の中はビチャビチャにならずにすんでいる


ザリガニは興味のあるものをじっと見るクセがあるようだった


しかしそう何時までもザリガニを風呂に置いとくわけにもいかない


俺も風呂に入りたいのだ


今回は奮発してザリガニのために水槽を買ってやった


水槽が届くとダンボールから取り出し中に水を入れてザリガニを掘り込んだ


ピッタリサイズだと感心した


「これからココがオマエの住処だ!たっぷり泥をはくんだぞ」


ザリガニから解放された風呂にお湯をためて俺はあたたかい湯船に浸かった


久しぶりの風呂は気持ちがよく俺はついつい長湯をしてしまった


風呂から上がり体を拭きタオルで髪を乾かしながらリビングに戻ると


水槽からザリガニの姿が消えていた


「どこいきやがったアイツ!」


周りを見回すとダンボールから赤いひげが伸びていた


そっとフタを開けると中で丸まったザリガニがスヤスヤと寝息をたてていた


「こっちが気に入ったのか・・・」


ちょっとガッカリしながら俺はザリガニを持ち上げるとダンボールに毛布を敷き詰めてやりソノ上に寝かしてやった


ザリガニは寝ながらもハサミをカチカチならしていた


夜になり俺も寝ることにした


深夜に突然ザリガニがドアを開けカチカチと威嚇(?)してくる


どうも何かに慌てているようだいつもよりカチカチの速度が速いカチカチカチカチ


「どうしたんだよこんな夜更けに」


そういいながらリビングにいくとザリガニは俺の後ろに隠れダンボールを指差してくる


「ダンボールがどうしたんだ?」


そういいながらフタをどけてみると緑色のバッタがいた


トノサマなのかオンブなのか分からないがどうみてもバッタだった


俺はひょいとバッタを手に取るとザリガニは勢いよく逃げていった


外が寒いから窓をあけて投げ捨てるのも億劫だしテーブルの上に置いて寝室に戻ろうとしたら


ザリガニがまた抗議をしてくる


俺は困ってどうしたものかとおもいフト何気なくザリガニの背中にバッタを乗せてみた


バッタをのせられたザリガニは辺りをキョロキョロして静かにダンボールの中に戻って行った


どうやら背中がザリガニの死角らしい 目の届かないところにいったと思ったんだろ


俺も寝ることにした